九州柳河精機株式会社
190ライン分の日報処理に1日6時間かかっていた
タブレットでの日報入力により処理が即時化、 6時間分の作業がゼロになった
情報が共有されるまで1~2日かかるため 改善活動が後手になっていた
データはkintone・kViewerに反映され、 管理者や他部署にも当日中に共有
停止原因の分析に時間がかかっていた
蓄積された情報はkViewerで一覧化、 稼働率や不稼働原因もすぐに把握可能に
管理部 右田光利 氏
ITプロジェクト 北川 義久 氏
製造部 小林 正憲 氏
機械I課 橋本 保徳 氏
工機課 有働明美 氏
熊本県菊池市の九州柳河精機株式会社は、1976年創業の自動車部品メーカー。
アルミの鋳造から塗装・組み立てまでを自社で担う一貫体制を強みに、来年で50周年を迎える。
2021年にi-Reporterを導入し、kintone、kViewerとの3システム連携を構築したことにより、
を実現。
特に約190ラインにわたる作業日報では、紙ベースで6時間以上かかっていた回収・集計作業がゼロに。
iPadからの入力で即時データ化され、現場・管理者・他部署が「今日の稼働」をその日のうちに把握できるようになり、改善活動のスピードも格段に向上している。
※本記事では「作業日報」のカイゼン事例を特集しております。
九州柳河精機株式会社は、熊本県菊池市に本社を構える自動車部品メーカーで、1976年(昭和51年)の創業以来、アルミのカバー、部品、機能部品やホイルといった重要保安部品の製造を行っている。来年50周年を迎える同社の強みは、アルミの鋳造から加工、塗装、組み立てまでを一貫して自社で対応できる生産体制にある。
これまで多くの自動車メーカーと取引を重ね、高い品質と技術力を評価されてきた。創業当初は主に2輪部品を生産していたが、近年ではハイブリッド車や電動化といった次世代モビリティへの対応にも力を入れており、新たなニーズにも応えられる体制を整えている。
2002年に本田技研工業と共同開発した溶接可能なダイカスト中空フレームは、当社を代表する製品の一つで、世界的に見ても希少な技術を有しており、同社の技術力の象徴となっている。
工場のデジタル化を進めるにあたり、電子日報、BIツール、IoTなど、さまざまなツールの費用対効果を検証した結果、最も効果の見込めたi-Reporterを2021年に導入した。ほぼ同時期に、それまで使用していたグループウェアのNotesをGaroonに移行している。
当時のkintoneデータベースは、見るだけの人が大半だったため、全員分のGaroonを用意する代わりに、閲覧はkViewerを導入した。i-Reporterは承認された日報をkintoneシステムに登録する運用をしていたが、承認前の速報値でもよいからすぐに見たいという要望があったため、自動出力されたCSVを15分おきにkintoneと連携して、kViewerで閲覧できる仕組みを構築したところから、3製品の連携は始まっている。
複数のシステムを現場担当者に使ってもらう際、見る場所も複数に分かれることで困惑する可能性があるため、以下の工夫を行っている。
作業日報を承認する方には、kintone、ConMas Managerを操作してもらっているが、それ以外の方の入り口はGaroonとし、その中にkViewerで作った作業実績一覧、稼働率、グラフなどのリンクを集めたポータル画面を準備している。
工夫としては、kintoneやkViewerなどの言葉は使用せずにGaroonで通じるようにしている。また、kintoneの実績データの中には、帳票IDを組み込んだリンクを準備することで、すぐにi-Reporterの帳票へ飛べるようにしている。
通常の帳票保存とは別に、i-Reporterをkintoneの入力インターフェースとして活用している。i-Reporterでは、現場で撮影した画像の解像度を事前に調整したり、ファイル名を指定することができるので、kintoneに保存するなどの業務に最適化した使い方を実現した。
例えば購買の払い出し実績では、購買の日付、払い出そうとしたものをkintoneから呼び出した後で、i-Reporter帳票上で数量などを入力して、kintoneの方に保存をかけておく。
その後に一回クリアをすることで、単純な入力インターフェースとしての仕様となり、帳票自体の保存は行っていない。
作業日報の運用では、従来は紙の日報を用いており、各ラインごとに作業実績や稼働状況を手書きで記録していた。
北川氏:「以前は、現場で紙の日報に作業実績を記入し、事務所でまとめて入力していました。日報が集まるまでに1〜2日かかり、現場の状況をリアルタイムで把握するのが難しかったです」
また、日報の記入漏れやシステムへの入力ミスも頻発していた他、不稼働の区分と時間は入力しても詳細は紙にしか残らないという問題もあった。
小林氏:「集計された月報で不稼働の合計時間はわかるのですが、その詳細は紙の日報を見返す必要があり、改善活動に活かしきれていませんでした」
さらに、i-Reporter導入前は、紙の日報の回収・入力・スキャン・集計・シュレッダー作業に1日あたり360分(6時間)ほどかかっており、事務員の負担も大きかった。
i-Reporter導入後は、iPadから直接入力できるようになり、帳票はラインごと・日ごとに整理され、作業実績や稼働状況がリアルタイムでkintoneに連携されるようになった。
北川氏:「今は現場で作業が終わったらすぐにiPadで入力でき、情報が即時にkintoneに反映されるので、管理者や他部署ともリアルタイムで状況を共有できるようになりました」
紙日報の入力・スキャン・集計作業はほぼゼロになり、全ラインのデータが即時にkintoneに集約されることで、1〜2日かかっていた集計作業がリアルタイムで完了するようになった。
kintoneに連携されたデータは、kViewerでラインごと・日ごと・部品ごとに一覧化され、稼働率や停止時間、不稼働の原因分析に活用されている。
小林氏:「今は全てのラインの稼働状況を一画面で確認できるようになり、気になる実績をクリックすると不稼働の詳細も把握できるので、改善活動が格段に進みました」
また、現場で入力されたデータをもとに、日々の改善活動やKPI管理がリアルタイムで行えるようになり、現場の生産性向上に直結している。
i-Reporterの帳票は現場の声を反映して、必要な項目だけを選んで入力できるようにカスタマイズされている。
「現場の意見がすぐに帳票に反映されるので、使いやすさがどんどん向上しています。現場の負担も減り、作業効率も上がりました」と現場リーダーは語る。
見える化が安価に構築でき、kViewerはkintoneアカウントを持たないユーザーにも情報公開できるためコスト削減につながっている。社内PCやiPadからアクセス制限も可能で、シンプルな見える化が実現できている点が高く評価されている。
北川氏:「kViewerは、kintoneのアカウントを持っていない人でも情報を見られるので、コストを抑えつつ全員に情報共有できます。現場のPCやiPadからもアクセス制限をかけられるので、セキュリティ面でも安心です」
九州柳河精機株式会社では、現場の課題を的確に捉え、デジタルツールを柔軟に活用することで、業務効率化と現場力の向上を実現している。
今後もさらなる改善と発展が期待される。
上記のレビューは、ITreview(https://www.itreview.jp/products/i-reporter/reviews)より引用しています。
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