日々の現場業務で紙の帳票を使い、作業や検査、設備点検などの記録を行っている企業は少なくありません。
しかし、こうした紙ベースの運用には、「記録の転記・集計に時間がかかる」「情報の共有・分析が遅れる」「記入漏れや判読ミスが発生する」など、さまざまな課題がつきまといます。
そこで、現場帳票のデジタル化に取り組もうとする企業が増えていますが、いざ導入を検討しはじめると、多くの企業が共通して直面する課題があります。
それが「現場帳票をデジタル化したい。でも、どのようにシステムを選べばいいのだろう?」という問題です。
弊社では、製造業の現場責任者111名を対象とした調査を行い、現場帳票デジタル化における重大な課題が明らかにしました。
方式の違いを理解せずに選定
40.5%
「現場帳票型」と「Webフォーム型」の違いを
導入前に理解していなかった
選択を後悔
87.4%
導入後に「違う方式に
すればよかった」と感じた
問題を予測できず
48.2%
デジタル化で発生する課題を
導入前に想定できていなかった
出典:株式会社シムトップス
「現場帳票デジタル化の方式選定に関する実態調査」(2025年10月)
現場帳票のデジタル化を行う手段としては、大きく分けて「現場帳票型」と「Webフォーム型」の2種類があります。いずれにもメリット・デメリットがあり、業務内容や現場環境に応じて最適な選択をすることが重要です。
本ページでは、現場帳票型とWebフォーム型の両製品を導入し、それぞれの特性を活かした運用を行っている企業様の声をもとに、それぞれの特徴や適した業務を比較・分析しました。
現場帳票のデジタル化を検討されている皆様の選択の指針となることを願っております。

OR

現場帳票をデジタル化する際の2つのアプローチについて、それぞれの基本的な考え方と特徴について説明します。

既存の紙帳票やExcel帳票のレイアウトをそのまま再現し、デジタル化する方式。現場で長年使い続けられてきた帳票の構成や記入ルールを維持することで、運用を大きく変えずにデジタル化を進めることができる。

1画面に少数の入力項目(通常1〜9項目程度)だけを表示し、段階的にデータを入力・送信してデータを収集する方式。
Webブラウザベースで動作するため、専用アプリのインストールを必要としない。
現場帳票型 MERIT 01
現場が新しく操作に慣れる必要がないから、教育が必要ない!
現場帳票型の最大の特徴は、既存の紙帳票のレイアウトをほぼそのままデジタル化できることです。
多くの現場では、長年の試行錯誤を経て現場作業者にとって使いやすいよう改善されてきた帳票が「現場の資産」として活用されています。
この資産を活かしてデジタル化に取り組むことができるため、新しい操作画面や入力方法を一から覚え直す必要がなく、作業者の心理的ハードルが低く済みます。
また、既存の帳票をベースにしたデジタル帳票なので、DX推進担当者と現場作業者の間で「どの点をどう改善するか」といったコミュニケーションがスムーズに行えるというのも利点です。

使い慣れたフォーマットで入力でき、デジタル化の際に生じがちな現場の抵抗を軽減

DX担当者と現場作業者が同じ帳票を見ながら改善点を議論できる

操作方法を新たに学ぶ必要がなく、すぐに業務に用いることができる
現場帳票型 MERIT 02
品質検査などの、複数の項目を一つの画面内で確認、入力する必要のある業務には、
現場帳票型が最適!
検査は項目数が多い上に、回覧、提出も現場帳票レイアウトが必須なんです。
現場作業の中には、複数の情報を照らし合わせながら記録する必要がある業務があります。
特に出荷検査などの品質管理業務の場合は、製品情報・検査項目・判定結果などを一覧で把握しながら入力する必要があります。
現場帳票型であれば、紙帳票と同じレイアウトで1画面内に複数項目を一覧表示できるため関連情報を同時に参照しながら入力が可能です。
これにより画面を切り替える手間を削減し、入力作業の効率化を実現することができます。

現場帳票型 MERIT 03
前後の工程で情報の連携をする必要がある場合は、現場帳票型でなければ実現できません!
製造業の現場では、たとえば前工程の検査結果を踏まえて次の工程の作業を進めたり、1つの帳票に複数工程の記録を追記していく等、工程をまたいで情報を引き継ぎ、互いに連携しながら作業を進めることが日常的に行われています。
現場帳票型なら、こうした工程間の情報をひとつの帳票レイアウト上で継続的に記録・参照できるので、製造プロセス全体の可視化と改善が可能となります。
こうした工程間を横断した帳票運用はWebフォーム型では実現が難しく、製造現場の連携強化には現場帳票型ならではの柔軟性が役立ちます。

加工内容と
検査の記録
組立内容と
検査の記録
最終検査の
記録
出荷判定・
ロット情報
Webフォーム型 MERIT 01
Webフォーム型は、現場帳票型と比べて入力がはるかに簡単!
画面が整理されていて、シンプルです。
1画面に表示される項目が少ないので、迷わず簡単に入力できます。一度に多くの情報を必要としない、シンプルな画面構成が求められる現場にはWebフォーム型が最適!
Webフォーム型の最大の特徴は、1画面に表示する入力項目を1〜9個程度に絞ったシンプルな画面構成にあります。
作業者は表示された項目にだけ集中して入力作業を行えばいいので、見間違いや記入漏れといった人的ミスの発生を抑えることができます。
こうした特性をもつWebフォーム型は、特に設備点検や日常のチェック業務など、複雑な情報を扱う必要がない業務での入力作業において高い効率性を実現します。


必要な情報だけが都度表示されるため、作業者は入力すべき内容に専念できる。

画面の構成が単純明快なので、記入ミスや入力ミスを抑えることができます。

各項目に適切なガイダンスが表示され、誰でもスムーズに入力できます。
現場帳票型 MERIT 02
短期間でたくさんのフォームを作成できるので、現場のニーズにも迅速に対応できるのが強みです!
入力フォームの作り方は簡単!新しい業務が発生した際も、すぐに対応できます。
Webフォーム型は入力する画面レイアウトがある程度システム側で定められているという特徴があります。
そのため、画面設計時に項目の配置やレイアウトで悩むことが少ないことに加え、レイアウトがシンプル、項目数も少ないので、フォームの作成や編集が比較的容易です。
汎用的なテンプレートを使ったフォームの作成も行いやすいため、IT担当部門に都度依頼しなくても柔軟に対応が可能で、現場のニーズや業務プロセスの変化にも素早く対応でき、帳票をデジタル化する展開速度を大幅に向上させることができます。
この柔軟性は、日々の運用改善が求められる現場や、案件ごとに管理項目が異なる現場で大きな効果を発揮します。
01
必要な入力項目を選択し、基本的なフォームレイアウトを作成
02
入力規則や送信後の処理などの詳細設定を行う
03
実際に入力してみて、フォームの使いやすさを検証する
04
完成したフォームを現場へ展開し、すぐに利用開始
Webフォーム型 MERIT 03
業務毎に用意されたシンプルな入力画面なので、レイアウト変更や項目の修正が気軽!
前後の作業や工程に影響しないフォームが多いので、手早くシステム修正が可能!
Webフォーム型は、単一業務毎の入力フォームを個別に作成・用意することが多いため、一部の項目だけの変更や追加が行いやすいという特徴があります。
あくまで情報の取得が目的となるケースが多いため、画面レイアウトや項目に変更を加えたい場合に、前後の作業や工程を考慮せずに変更できるのも強みです。
現場帳票型で取得する必要のない(帳票形式でのデータ保管を求められない)情報は、Webフォーム型での入力画面をいくつか用意することで、柔軟性と継続性を両立した業務改善が実現できます。

| 現場帳票型 | Webフォーム型 |
|---|
| 基本コンセプト | 基本コンセプト | 既存の紙帳票のレイアウトをそのままデジタル化 | 1画面に少数項目を表示するシンプルな入力フォーム |
|---|---|---|---|
| 入力方式 | 複数項目を1画面で同時に表示し、確認しながら入力できる | 1項目ずつページ送りで入力していく | |
| 画面内情報の見やすさ | 紙帳票と同じレイアウトで時間別や工程別に見返せるため、全体像を把握しやすい | 1項目ずつの表示が基本で、入力中の情報は見ることができるが一覧性は弱い | |
| 帳票形式での報告・閲覧 | 可能 顧客別の専用フォーマットへの自動変換など帳票形式での出力に標準で対応 | 基本機能では不可 別途帳票システムとの連携を行うことで帳票形式での出力が可能となる場合がある | |
| 導入・展開面 | 導入時の現場受け入れ | 既存の帳票の形が維持されるため、入力に慣れやすい | シンプルな操作で理解しやすい |
| 展開速度 | 帳票設計のために業務への理解が必要なため、やや時間がかかる | 短期間で展開が可能 | |
| 市民開発の難易度 | 現場業務への理解が不可欠のため、全ての人員での対応は難しい | 汎用的なテンプレートが活用できるなど、比較的簡単に作成可能 | |
| 初期設定の複雑さ | 現場業務への理解と作業者の意見を取り入れた設定が重要 | シンプルな設定だけで導入可能 | |
| 運用面 | 入力の操作性 | 選択入力・写真撮影・数値入力など、多用な入力方法がある | 選択入力・写真撮影・数値入力など、多用な入力方法がある |
| 工程をまたいだ入力・閲覧 | 前後工程との情報共有が可能 | 工程をまたいだ入力や閲覧は難しい | |

i-Reporterは
現場帳票型・Webフォーム型の
両方に対応しています!
i-Reporterは4,000社21万人以上が利用する国内シェアNo.1の現場帳票システムです。
日報・点検記録・検査記録・作業チェックシートなどの使い慣れた紙・Excel帳票を、プログラミング知識不要で誰でも簡単にデジタル化できます。
i-Reporterは現場帳票型のシステムですが、Excelを使ってノーコードでWebフォームのような画面を設計できるため、Webフォーム型が得意とするシンプルな入力業務にも活用されているお客様が多くいらっしゃいます。
以前からiPadで帳票を入力したいというニーズが多くありました。
これを叶えるためには、通常社内でWebアプリケーションを作成するしか手段がありませんでしたが、i-Reporterを導入してからは、必要に応じて各部門で入力帳票を作成することができるようになりました。
※本レビューは「ITreview」に掲載されたものです。
外部の開発会社に頼らず、自分たちで画面設計や実装ができるのがi-Reporterの利点です。試行錯誤しながら帳票を作ることができるのが良かったです。
Excelに入った関数がそのまま使用できるので、導入してデジタル帳票を使い始めるまでが早くなりました。
※本レビューは「ITreview」に掲載されたものです。
i-Reporterで紙日報をWebフォームに変更しました。紙、郵送料の節減はもとより、手作業で入力していた作業についてもcsv出力データとのシステム連携により作業労務コストを圧縮できました。
作成したフォーマットもExcelベースで簡単に修正できるので、大変重宝しています。
※本レビューは「ITreview」に掲載されたものです。
使い慣れた帳票そのままの形で落とし込めるから、現場にも喜んで受け入れてもらえた。