作業標準書の作り方とは?作業手順書との違いや効果的に活用するコツ

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現場での作業品質を一定に保ち、生産性や業務効率を向上させるには、標準化された作業ルールの整備が欠かせません。属人化による品質のばらつきや、経験の浅い従業員によるミスを防ぐ手段として、多くの企業が導入を進めているのが「作業標準書」です。

特に、製造業やサービス業では、新人教育や品質管理で作業標準書が重要な役割を担います。しかし、「作業標準書と作業手順書は何が違うの?」「どこまで詳しく書くべきかわからない」といった悩みも少なくありません。

この記事では、作業標準書の基本的な作成手順や項目例から、注意点や現場での活用を高めるデジタル化のコツまで詳しく解説します。


作業標準書とは?作業手順書の違い

作業を文書化する際、「作業標準書」と「作業手順書」はよく混同されがちです。それぞれの目的や使われる場面を把握し、役割に応じた適切な使い分けを行えば、品質や効率の管理がしやすくなります

作業標準書とは

作業標準書とは、業務の「基準」や「品質維持」に重点を置き、作業工程におけるルールや評価の判断基準を文書で明確化したものです。「どのような状態を良品とするか」「どの工程に重点を置くか」といった品質に関わる項目を明示すれば、作業結果のばらつきを抑え、一定水準以上の成果を安定して出せる体制を整えられます。作業標準書は、品質保証部門や工程設計部門などの管理側が主に作成し、全社的な品質維持において欠かせない存在です。

一方、作業手順書は、現場の作業者が実際に作業を進める際に使う指示書です。「どのような順番で何を行うか」といった業務内容を時系列で示すことに重点が置かれており、作業者が迷わず手順を再現できるよう設計されています。写真や図入りのPDFや、動画マニュアルなどを用いて視覚的に補足すれば、理解の定着や作業効率の向上も期待できるでしょう。

作業標準書と作業手順書の違い

2つの違いを整理すると、次のように明確な役割の違いが浮かび上がります。

項目作業標準書作業手順書
目的作業の「基準」や「品質維持」に重点を置く作業の「手順」や「実施方法」に重点を置く
内容標準的な作業内容や品質基準、 許容範囲、検査基準などを記載特定の作業の手順や注意事項を 詳細に記載
使用部門品質保証部門や工程設計部門など 管理・設計側が主に使用現場作業者や製造部門など 実際に作業を行う側が主に使用
使用場面全体のルールや基準を設定 品質を保つために利用実際の作業時に手順を守るため 具体的な指示として利用
範囲広範囲な業務や工程全体を対象特定の作業や工程ごとに個別に作成

作業標準書は、「何を守るべきか」という基準やルールを示す文書です。品質や業務効率を全体として担保する目的で作成され、組織全体の統一を図るために活用されます。

一方、作業手順書は、「どのように作業を進めるか」という、対象業務の具体的な作業手順を伝えるものです。現場での正確な作業や安全性の実現を目指し、作成した手順書を見ただけで、作業者が迷わず動けるよう設計されています。

作業標準書には作業の要点や全体の流れ記載し、より細かな作業ステップやポイントは作業手順書にまとめ、それぞれ分けて作成するのが一般的です。全体の品質や効率は作業標準書で担保し、現場作業の正確性や安全性は作業手順書によって実現を目指します。


作業標準書の項目と内容例

作業標準書には、作業に関する基準や手順を明確にするためのさまざまな項目が含まれます。内容は職場や作業内容によって異なりますが、基本的な構成としては以下のようなものが一般的です。

項目内容例
作業名どの作業を標準化するかを明記
目的作業標準書の作成背景や目的
適用範囲「○○工場全体」「特定ラインのみ」など、作業標準書が適用される範囲
必要な材料・工具・服装作業に必要な部品、材料、工具、機器、作業時の服装などをリストアップ
作業手順作業の流れや方法を順序立てて記載。必要に応じて画像や図も使用
判断基準合否基準、品質基準、所要時間の目安など
注意事項安全上の注意点、トラブル時の対処法、禁止事項など
責任者担当者名、責任者名など

作業標準書には、JIS規格などで厳密な様式やフォーマットが定められているわけではありません。どの項目をどこまで記載するかは、実際の作業内容や流れ、職場のルールや設備・機械の使い方に応じた調整が求められます。

例えば、工程が複雑な作業であれば、手順の項目に写真や動画を取り入れ、視覚的に補足すると効果的です。また、判断基準や注意事項の記載があいまいなままでは、作業ごとに結果がばらつく可能性があります。社員の誰が見ても同じ判断ができるように、数値や条件を使って明確に記述することが重要です。


作業標準書の基本的な作り方

作業標準書は、現場の誰もが迷わず同じ手順で作業できるよう、一定の手順に沿って作成しなければなりません。ここでは、作業標準書の基本的な作り方をわかりやすくご説明します。

Step1.目的と適用範囲を決める

はじめに、対象とする作業内容を明確にしましょう。どこまでの工程や範囲を含めるのかを定めておくと、記載すべき情報が過不足なく整理できます。

また、作業中に使う専門用語や略語などの言葉については、定義の記載も欠かせません。豊富なノウハウや経験を持つ熟練者だけではなく、新人を含む従業員の誰が読んでも同じ理解ができるように、誤解を生じさせない工夫が必要です。

Step2.基準・ルールなどをまとめる

次に、作業を進めるうえでの基準やルールを整理しましょう。品質基準や安全基準、使用する資材・設備の条件は、あいまいな表現を避け、数値や具体的な用語で記載します。

また、必要となる資材・設備・環境条件のほか、作業者に求められる資格や条件なども、明確に記載しておきます。

Step3.管理・改訂方法を決める

作業標準書を運用するには、改訂履歴だけでなく、保管場所や管理責任者などの管理方法も記載する必要があります。あわせて、関連する手順書や業務マニュアル、法令などがある場合には、参照先をリスト化し、必要な情報にすぐアクセスできる体制を整えておくと便利です。


見出し4:作業標準書を作成する際の注意点

作業標準書は、現場で確実に活用されることを前提に作成する必要があります。どのような点に注意すべきか、順に見ていきましょう。

専門用語や曖昧な表現を多用しない

作業標準書は、新人や経験の浅いスタッフが読む可能性もあるため、専門用語の多用は避けましょう。やむを得ず専門用語を使う場合は、注釈や補足説明を加えて、誰でも理解できるようにします。

また、「適宜」「しっかり」「気をつけて」などの曖昧な表現は、読み手によって解釈が分かれる恐れがあり、できるだけ数値や具体的な動作で記載します。誰が読んでも同じ作業結果が得られるよう、表現方法に注意を払いましょう。

現場の実態とかけ離れた内容にしない

現場の実態に合わない作業標準書は、実際には活用されず形だけの存在になり、せっかく作っても無駄になってしまうでしょう。作成する際には、現場で作業を行っている担当者の意見を取り入れ、実際の工程や作業の流れを確認しながら記載します。

作業手順を省略・簡略化しすぎない

作業手順や工数を省略しすぎると、重要なポイントが抜け落ちてしまい、ミスや事故のリスクが高まるでしょう。作業ごとに「何を」「どのように」「どこまで」行うのかを具体的に記載すれば、安定した作業品質の維持につながります。

更新・改訂の仕組みを整備しないまま放置しない

現場の改善や設備・材料の変更、新たな課題の発生などに応じて、内容の定期的な見直しが欠かせません。更新履歴や改訂日を明記し、最新版が現場で確実に使われるよう管理することも大切です。

放置されたままの文書では、内容と実態が乖離し、かえって現場の混乱を招く恐れがあります。


作業標準書を効果的に活用するコツはデジタル化

作業標準書を現場で円滑に運用するには、デジタル化が大きなカギとなります。紙媒体では、改訂の反映に時間がかかったり、配布や保管に手間がかかったりして、現場で活用されにくい課題が残るからです。

デジタル化された作業標準書であれば、情報の更新や改訂をリアルタイムで反映でき、常に最新版の共有が可能です。必要な情報を検索しやすく、アクセス性も高いため、業務の効率化にもつながります。また、多言語対応も容易で、外国人スタッフが在籍する現場でも有効です。

さらに、印刷や保管にかかるコストを削減できるほか、アクセス権の設定によるセキュリティ強化や、複数拠点での同時運用も実現できるメリットもあります。作成ツールなどを使って作業標準書をデジタル化すれば、現場で活用しやすくなり、パフォーマンスの向上が期待できるでしょう。


作業標準書の運用改善には「i-Reporter」の活用が効果的

紙での管理や手作業による更新では、ミスや手間が発生しやすく、最新版が現場に反映されにくいという課題があります。こうした管理負担を軽減し、作業標準書を現場で活用しやすくするには、運用全体のデジタル化が効果的です。

現場帳票システム「i-Reporter」を活用すれば、作業標準書の作成・更新・配信を一元管理でき、現場業務の効率化と品質向上が可能です。例えば、作成した標準書をタブレットで閲覧できるため、現場での即時確認や手順の徹底がしやすくなるでしょう。さらに、作業の進行にあわせてチェックリストを記録したり、点検結果を入力したりといった運用にも対応しています。

「i-Reporter」があれば、作業標準書の形骸化を防止し、現場で活用しやすい体制を整えられます。作業標準書の運用を見直したい場合は、ぜひ「i-Reporter」の導入をご検討ください。

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