九州柳河精機株式会社
デジカメ内の写真をサーバーに保存するのに毎日約1時間かかっていた
タブレットで撮影し、その場で登録できるように なり作業時間を大幅に削減できた
記録した写真がどこに保存されたかわからなくなる等、 必要な写真を探すのに10分以上かかることがあった
kViewerで部署の管理板を一覧化・検索できるので 必要な情報に数秒でアクセス可能に
写真の整理ルールが統一されておらず 品質管理や改善活動に支障をきたしていた
写真が日付や設置場所ごとにデータが自動整理され すぐに確認できるようになった
管理部 右田光利 氏
ITプロジェクト 北川 義久 氏
製造部 小林 正憲 氏
機械I課 橋本 保徳 氏
工機課 有働明美 氏
熊本県菊池市の九州柳河精機株式会社は、1976年創業の自動車部品メーカー。
アルミの鋳造から塗装・組み立てまでを自社で担う一貫体制を強みに、来年で50周年を迎える。
2021年にi-Reporterを導入し、kintone、kviewerとの3システム連携を構築したことにより、
を実現。
特に23カ所ある変化点管理板の写真管理では、毎日1時間かかっていた保存作業がゼロに、検索作業も大幅短縮に成功。
日付や設置場所ごとに自動整理され、全社横断で一画面共有できるようになり、品質管理や改善活動のスピードが大幅に向上した。
※本記事では「変化点管理板」のカイゼン事例を特集しております。
九州柳河精機株式会社は、熊本県菊池市に本社を構える自動車部品メーカーで、1976年(昭和51年)の創業以来、アルミのカバー、部品、機能部品やホイルといった重要保安部品の製造を行っている。来年50周年を迎える同社の強みは、アルミの鋳造から加工、塗装、組み立てまでを一貫して自社で対応できる生産体制にある。
これまで多くの自動車メーカーと取引を重ね、高い品質と技術力を評価されてきた。創業当初は主に2輪部品を生産していたが、近年ではハイブリッド車や電動化といった次世代モビリティへの対応にも力を入れており、新たなニーズにも応えられる体制を整えている。
2002年に本田技研工業と共同開発した溶接可能なダイカスト中空フレームは、当社を代表する製品の一つで、世界的に見ても希少な技術を有しており、同社の技術力の象徴となっている。
工場のデジタル化を進めるにあたり、電子日報、BIツール、IoTなど、さまざまなツールの費用対効果を検証した結果、最も効果の見込めたi-Reporterを2021年に導入した。ほぼ同時期に、それまで使用していたグループウェアのNotesをGaroonに移行している。
当時のkintoneデータベースは、見るだけの人が大半だったため、全員分のkintoneを用意する代わりに、閲覧はkViewerを導入した。i-Reporterは承認された日報をkintoneシステムに登録する運用をしていたが、承認前の速報値でもよいからすぐに見たいという要望があったため、自動出力されたCSVを15分おきにkintoneと連携して、kViewerで閲覧できる仕組みを構築したところから、3製品の連携は始まっている。
複数のシステムを現場担当者に使ってもらう際、見る場所も複数に分かれることで困惑する可能性があるため、以下の工夫を行っている。
作業日報を承認する方には、kintone、ConMas Managerを操作してもらっているが、それ以外の方の入り口はGaroonとし、その中にkViewerで作った作業実績一覧、稼働率、グラフなどのリンクを集めたポータル画面を準備している。
工夫としては、kintoneやkViewerなどの言葉は使用せずにGaroonで通じるようにしている。また、kintoneの実績データの中には、帳票IDを組み込んだリンクを準備することで、すぐにi-Reporterの帳票へ飛べるようにしている。
通常の帳票保存とは別に、i-Reporterをkintoneの入力インターフェースとして活用している。i-Reporterでは、現場で撮影した画像の解像度を事前に調整したり、ファイル名を指定することができるので、kintoneに保存するなどの業務に最適化した使い方を実現した。
例えば購買の払い出し実績では、kintoneから備品の名称・単価・画像といった情報をi-Reporter帳票上に呼び出した後、数量などを入力して、kintoneに保存する。
その後に一回クリアをすることで、単純な入力インターフェースとしての仕様となり、i-Reporter帳票自体の保存は行っていない。
変化点管理板の運用では、従来、毎朝前日の管理板をデジカメで撮影し、パソコンに取り込み、所定のフォルダに名前を付けて保存するという手間がかかっていた。
また、管理板の写真を見たい場合、各課で保存場所の異なるフォルダを横断して探す必要があり、非常に効率が悪かった。
橋本氏:「以前は毎朝、前日の変化点管理板をデジカメで撮影し、パソコンに取り込み、所定のフォルダに名前を付けて保存していました。各課で保存場所が異なり、必要な写真を探すのも一苦労でした」
さらに、課や係によってフォルダ構成のルールが統一されておらず、品質管理や改善活動の際に過去の記録を遡るのが困難だった。
「どのフォルダに保存してあるのか分からなくなることもあり、課や係をまたいだ情報閲覧に時間がかかっていました」と現場リーダーは振り返る。
毎日の写真保存にかかる時間は変化点管理板23カ所の合計で約1時間かかり、必要な写真を探すのに不慣れな人は10分以上かかることもあったという。
i-Reporter導入後、現場では、変化点管理板の写真を撮影する際、i-Reporterの帳票で「日付」と管理板の「設置場所」を選択するだけで、写真が自動的に正しいフォルダに保存される仕組みを構築。
北川氏:「設置場所と日付の組み合わせから、その課・係にあったフォルダ構成とファイル名を生成しています。iPadで撮影した写真も、画像クラスター設定でファイルサイズを自動調整できるので、サーバー容量の節約にもなっています」
通常、iPadで撮影した写真はファイルサイズが大きくなるが、i-Reporterの画像クラスター設定で、管理板の文字が読める程度にまでファイルサイズを最適化する工夫を行っている。
北川氏:「年や月が変わると新しいフォルダを自動で作成したり、2枚目を送るとファイル名に(2)を付けたりといった工夫もしています」と話す。
写真は、従来の社内サーバー保存と同時に、新たにkintoneにも連携され、kViewerで一覧表示や検索ができるため、必要な情報にすぐアクセスできるようになった。
これにより、サーバー内に分散していた各部署の管理板が一画面に集約され、必要な情報へのアクセス時間が大幅に短縮された。複数の管理板を確認する管理者は「以前は必要な写真を探すのに時間がかかることもありましたが、今はkViewerですぐに見つかります」と実感を語る。
また、管理板の設置場所や日付ごとにデータを整理できるようになり、品質管理や改善活動のためのデータ収集・確認にかかる時間も大幅に削減された。
kintoneに連携されたデータは、kViewerで部署ごと・設置場所ごと・日付ごとに一覧化され、品質管理や改善活動に活用されている。
北川氏:「品質等の情報を共有する会議が毎朝あるのですが、そこではわからない細かな変化点も把握しやすくなりました」
また、管理板の写真をもとに、現場で発生した変化点やトラブルの履歴を簡単に遡ることができ、再発防止や現場教育にも役立っている。
見える化が安価に構築でき、kViewerはkintoneアカウントを持たないユーザーにも情報公開できるためコスト削減につながっている。社内PCやiPadからアクセス制限も可能で、シンプルな見える化が実現できている点が高く評価されている。
北川氏:「kViewerは、kintoneのアカウントを持っていない人でも情報を見られるので、コストを抑えつつ全員に情報共有できます。社内からのみアクセス可能にするなど、ビュー毎にアクセス制限をかけられるので、セキュリティ面でも安心です」と語る。
九州柳河精機株式会社では、現場の課題を的確に捉え、デジタルツールを柔軟に活用することで、業務効率化と現場力の向上を実現している。
今後もさらなる改善と発展が期待される。
上記のレビューは、ITreview(https://www.itreview.jp/products/i-reporter/reviews)より引用しています。
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