九州柳河精機株式会社
備品払い出しの記録と月次集計に 毎月2.5時間を要していた
タブレットからの直接入力とシステム連携により 記録と集計が即時化し、所要時間がゼロに削減
記入漏れや転記ミスが多く 正確な予算管理ができなかった
マスターと連携することで情報が自動反映され ミスが大幅削減、正確なデータでの予算管理を実現
単価や在庫状況の確認に時間がかかっていた
備品の「使用部門」「品名」「数量」「単価」等のデータはKviewerで一覧表示、集計が可能に。
管理部 右田光利 氏
ITプロジェクト 北川 義久 氏
製造部 小林 正憲 氏
機械I課 橋本 保徳 氏
工機課 有働明美 氏
熊本県菊池市の九州柳河精機株式会社は、1976年創業の自動車部品メーカー。
アルミの鋳造から塗装・組み立てまでを自社で担う一貫体制を強みに、来年で50周年を迎える。
2021年にi-Reporterを導入し、kintone、kViewerとの3システム連携を構築したことにより、
を実現。
その中で購買備品の払い出し業務では、従来月2.5時間かかっていた台帳転記・集計作業が不要に。
タブレット入力による即時集計と単価の見える化により、現場・事務所双方の負担を削減するとともに、コスト意識改革や無駄な発注防止にもつながっている。
※本記事では「購買備品の払い出し」業務のカイゼン事例を特集しております。
九州柳河精機株式会社は、熊本県菊池市に本社を構える自動車部品メーカーで、1976年(昭和51年)の創業以来、アルミのカバー、部品、機能部品やホイルといった重要保安部品の製造を行っている。来年50周年を迎える同社の強みは、アルミの鋳造から加工、塗装、組み立てまでを一貫して自社で対応できる生産体制にある。
これまで多くの自動車メーカーと取引を重ね、高い品質と技術力を評価されてきた。創業当初は主に2輪部品を生産していたが、近年ではハイブリッド車や電動化といった次世代モビリティへの対応にも力を入れており、新たなニーズにも応えられる体制を整えている。
2002年に本田技研工業と共同開発した溶接可能なダイカスト中空フレームは、当社を代表する製品の一つで、世界的に見ても希少な技術を有しており、同社の技術力の象徴となっている。
工場のデジタル化を進めるにあたり、電子日報、BIツール、IoTなど、さまざまなツールの費用対効果を検証した結果、最も効果の見込めたi-Reporterを2021年に導入した。ほぼ同時期に、それまで使用していたグループウェアのNotesをGaroonに移行している。
当時のkintoneデータベースは、見るだけの人が大半だったため、全員分のkintoneを用意する代わりに、閲覧はkViewerを導入した。i-Reporterは承認された日報をkintoneシステムに登録する運用をしていたが、承認前の速報値でもよいからすぐに見たいという要望があったため、自動出力されたCSVを15分おきにkintoneと連携して、kViewerで閲覧できる仕組みを構築したところから、3製品の連携は始まっている。
複数のシステムを現場担当者に使ってもらう際、見る場所も複数に分かれることで困惑する可能性があるため、以下の工夫を行っている。
作業日報を承認する方には、kintone、ConMas Managerを操作してもらっているが、それ以外の方の入り口はGaroonとし、その中にkViewerで作った作業実績一覧、稼働率、グラフなどのリンクを集めたポータル画面を準備している。
工夫としては、kintoneやkViewerなどの言葉は使用せずにGaroonで通じるようにしている。また、kintoneの実績データの中には、帳票IDを組み込んだリンクを準備することで、すぐにi-Reporterの帳票へ飛べるようにしている。
通常の帳票保存とは別に、i-Reporterをkintoneの入力インターフェースとして活用している。i-Reporterでは、現場で撮影した画像の解像度を事前に調整したり、ファイル名を指定することができるので、kintoneに保存するなどの業務に最適化した使い方を実現した。
例えば購買の払い出し実績では、kintoneから備品の名称・単価・画像といった情報をi-Reporter帳票上に呼び出した後、数量などを入力して、kintoneに保存する。
その後に一回クリアをすることで、単純な入力インターフェースとしての仕様となり、i-Reporter帳票自体の保存は行っていない。
購買備品の払い出し業務では、従来は紙の台帳に手書きで記録し、月末にまとめて事務所で集計・入力していた。記入漏れや転記ミスも多く、各部門の予算管理も手間がかかっていた。
有働氏:「以前は、各作業者に備品や工具の払い出しを紙の台帳に記入してもらっていて、月に1回、作業者が記入した1ヶ月分の払い出し情報をまとめて、転記入力していました。
1ヶ月で2.5時間ほどかかっていた上、記入漏れや転記ミスも多く、各部門の予算管理も手間がかかっていました」と振り返る。
また、備品の単価や在庫状況を都度確認する必要があり、現場からの問い合わせに対応する手間や、予算消化状況の把握にも時間がかかっていた。
i-Reporter導入後は、現場では、払い出しが発生するたびにi-Reporterの帳票で必要事項を入力。
「部門」の選択、「社員番号」「(備品の)管理No.」の入力はi-Reporterの機能で、管理No.をキーにした「名称」「規格」「単価」などの表示、部門をキーにした「利用状況」の表示はkintone連携で行っている。
必須入力機能で記入漏れを防ぎ、表示された名称や規格を確認してもらう事で入力ミスも大幅に減少した。
有働氏:「必要な項目を選ぶだけなので、誰でも簡単に入力できます。
間違えやすい備品は写真をkintoneのマスターに登録するのですが、それもこの帳票からできます」
入力されたデータは即時にkintoneに連携され、kViewerで一覧や集計の表示が可能となった。
紙台帳の転記・集計作業はほぼゼロになり、部門ごと・品目ごと・月ごとの集計や管理がリアルタイムで可能になった。現場担当者の入力時間が大幅に短縮され、記入漏れや転記ミスも減少した。
i-Reporterの導入後、kViewerで部門ごとの「払い出し一覧」、「月間使用金額の集計」を表示できるため、現場と事務所の双方で予算管理や在庫管理が容易になった。
現場はkViewerで作られた2つのビューで、有働氏はkintoneを直接利用する事で、予算消化状況や在庫状況の見える化に活用されている。
有働氏:「今月どれだけ使ったか、どの部門がどの備品を多く使っているかが一目で分かるようになりました」
また、単価がその場で表示されることで「こんなに高いんだ、大事に使おう」という現場の意識改革にもつながった。
見える化が安価に構築でき、kViewerはkintoneアカウントを持たないユーザーにも情報公開できるためコスト削減につながっている。社内PCやiPadからアクセス制限も可能で、シンプルな見える化が実現できている点が高く評価されている。
北川氏:「kViewerは、kintoneのアカウントを持っていない人でも情報を見られるので、コストを抑えつつ全員に情報共有できます。社内からのみアクセス可能にするなど、ビュー毎にアクセス制限をかけられるので、セキュリティ面でも安心です」と語る。
九州柳河精機株式会社では、現場の課題を的確に捉え、デジタルツールを柔軟に活用することで、業務効率化と現場力の向上を実現している。
今後もさらなる改善と発展が期待される。
上記のレビューは、ITreview(https://www.itreview.jp/products/i-reporter/reviews)より引用しています。
※ITreviewは実名・企業登録制のレビュー投稿サイトで、現場担当者の生の声が数多く掲載されております。